まるで縁側でお茶をしながら雑談するように、出雲SPICE LAB.代表の山田健太郎がおしゃべりをする連載『縁側じかん』。ライターの塩冶恵子が聞き手となり、健ちゃんがそのとき一番話したいことを自由に話してもらいます。
今回のテーマは、「マネジメントって難しい……」というお話。同じようなことで悩んだことがある方も、きっと多いのではないでしょうか。
それでは、どうぞ!
いつの間にか、期待しすぎていた
最近、「マネジメントって難しいな〜」って、改めて感じることがあってさ。
たとえば、事業がうまくいってないときとかに、自分のなかでは「これは早く動かなあかん」ってスイッチが入ることがあるんやけど、まわりを見てみるとそこまで切羽詰まってる感じじゃなくて。その温度差に、なんか寂しさを感じることが多々あるんよね(笑)。
「あれ、自分だけ空回りしてる?」みたいな気持ちになって……。
──うんうん。
でも、よく考えたらそれって当たり前のことで。自分は経営者やし、誰よりも必死になるのは当然のこと。それと同時に「みんなも同じくらいの温度感でいるはず」って、いつの間にか思い込んでたんよね。
「これをやりたい」「なんとしても進めたい」っていう思いを、自分なりに共有してるつもりやったし、きっと同じ熱量で考えてくれてるはずやって、どこかで変な期待をしてしまってた。
でも、それぞれ立場も違えば、見えてる景色も違う。関わり方も、モチベーションの源も、人によってバラバラ。この事業を「やりたい!」って言い出したのは自分やし、途中から関わってくれた人もいれば、別の責任や環境のなかで動いてる人もいる。
そう考えたら、自分と同じ温度感を求めること自体、ちょっと傲慢やったり、他責というか……自分でプレッシャーを抱えきれない分、そ~っと人に渡して他責にしてしまってたなって、反省したのよね。これが本当に本当に最近のできごとでした(笑)。
改めて向き合う「チーム」のあり方
正直、最初はちょっと拗ねた気持ちにもなってたんよ。「なんで伝わらんのかな」「なんで同じように焦ってくれへんのやろ」って。でも、それって結局、自分の期待を押しつけてただけやったなって思うようになってさ。
やから、まずは自分の考え方を変えようって思って。とにかく今は、自分が動こうって心に決めてみてる。
僕が本気でやってる姿を見せて、そのうえで「ちょっと力貸してくれん?」ってお願いしたら、きっと伝わるものがあると思うし、熱量も広がっていくんちゃうかな、とか思って。
──うん、きっと伝わると思う。
いま一緒に動いてくれている仲間の存在は、本当にありがたいし、心強いなと思ってて。それぞれが自分のやり方でこのチームに関わってくれていて、日々ほんまに助けられてる。
ただ、これまでは「チーム」っていう形ではあっても、どこか自分の中に“個人主義”な感覚が残ってた気がするんよね。任せたことは任せた人がやる、やると決めたことは自分で責任を持ってやる——そんなふうに、ある意味すごくシンプルに考えてた。
でも、それだけじゃ足りんのよね。チームとしてもっと力を発揮していくには、ちゃんとマネジメントと向き合う必要があるなって、改めて思うようになった。
みんなが同じように動く必要はないし、無理に足並みを揃えることが正解でもない。それぞれの違いや得意を活かしながら、力を出し合って、前に進んでいけるような関係性。
信頼を土台にしたチームとして、そういうかたちを一緒に育てていけたらいいなと思ってる。
苦手な「継続」にも挑戦中
でね、最近は、毎朝ちょっと早起きして、近くの神社に散歩がてら参拝するのを習慣にしてて。まだ始めて1週間くらいやけど、これがなかなかいい感じなのよ。
歩きながら頭を整理したり、神様に「今日もがんばります」って宣言して手を合わせたり。会社として、何を大事にしていきたいか、自分自身がどうありたいかを、毎日少し立ち止まって考える時間になってて。
継続って昔から苦手やったけど、「決めたことを今日もやれた」って思えるのは、ちょっとした自己肯定感にもつながってる気がする。心が整って、自然と前向きになれるというか。
今はまだ小さな一歩かもしれんし、遠回りのようなことをしてるけど、こうやってまずは自分のあり方から整えて、変わっていくことが、きっとチームづくりや組織が変わっていくことにもつながっていくんちゃうかな、って。まずは自分自身にちゃんと向き合っていこうと思ってる。そんな今日この頃です。
大丈夫かな?こんな話で……。決してメンバー批判とか、そういう意味合いじゃないから、よしなに編集してね……(笑)
──おっけ~、任せて(笑)
***
話を聞きながら、経営者にはやっぱり孤独な面があるんだろうなと感じました。その一方で、ともに働く仲間がいるというのは、難しくもありがたいことなんだなと、改めて思います。組織を離れてひとりで仕事をしている今、健ちゃんの悩みは、どこかまぶしくも映りました。
次回の縁側じかんも、どうぞお楽しみに!
取材・文 塩冶恵子